角川グループホールディングス

株主の皆さまへ

飽くなきコンテンツ創出の追及が
web2.0時代新事業の根底を支えています

代表取締役会長兼CEO 角川 歴彦
代表取締役会長兼CEO 角川 歴彦

 2007年9月期の中間決算において、角川グループホールディングスは当初目標としていた数字を、売上高、営業利益ともに上回ることができました。
 特に出版部門は、前期上期「ダ・ヴィンチ・コード」や「ブレイブ・ストーリー」など、出版史上に残る超メガヒットがあり、対前年比のハードルが非常に高いなか、前期に迫る売上高(対前年97%)となっております。
 超メガヒット作が無くても、そこに迫る売上をあげることができたのは、コンスタントに中ヒットの作品を送り出すことができたからであり、良質の作品を安定して生産できる体制作りに取り組んできた成果であると考えています。
 特にコミックに関しては約20年前の後発参入時から、大手出版社がそれまでスポットを当てなかったジャンルや作家にも積極的な働きかけを行い、作品と市場を創出してきたことが、現在「新世紀エヴァンゲリオン」「カンダムTHE ORIGIN」「ケロロ軍曹」「よつばと!」「苺ましまろ」など、年間を通して売上に貢献する作品群となって実を結んでいます。
 さらに特筆すべきは、我々のコンテンツがメディアと国境を越えた広がりを見せている点です。昨年のヒット作となった「涼宮ハルヒ」は動画投稿サイトのYouTubeに関連映像が凄まじい勢いで投稿・閲覧され、日本のみならず米国でもDVDがヒット、世界各国で認知される作品となりました。本年4月にアニメ化した「らき☆すた」もYouTubeやニコニコ動画で圧倒的な支持を受け、アジア、米国、欧州へとファンが拡大しています。
 世界でクール・ジャパンと称され評価を高めているコンテンツの三大表現手法は「手書きアニメ」「劇画」「ライトノベル」ですが、web2.0時代に誕生した新しいメディアが、角川グループのこうしたコンテンツを世界に発信し、その力をビジネスに結び付けていく。その先陣に角川グループがいることを「涼宮ハルヒ」や「らき☆すた」での継続的な成功が示しているのです。

 本年11月、角川グループ創立60周年を機に編纂を開始した社史「全てがここから始まる 角川グループは何をめざすのか」が完成いたしました。この中で現・角川書店の社長・井上伸一郎が、角川書店のコミック創世記について振り返る寄稿をしており、今回その全文を転載いたしました。株主の皆さまにもお読みいただきたいと願った理由は「その時々のニッチを探す精神を大切にして、新しい本流を創出していきたい」という決意が、今も角川グループの社員に宿る大切な精神であり、今後もこの志が絶えぬ限り、我々は良質のコンテンツを生み出し続けるであろうと確信するからです。
 角川グループはこの一年で、web2.0時代にイノベーションを実現したアメリカ西海岸の企業と提携し、新たなビジネスへの布石を打ってまいりました。世界一の技術を持つ企業が日本でのビジネスパートナーとして、同業の技術会社でもなく、資金力のある商社でもなく、角川グループを選んだ理由も、我々がストックとフロー両方のコンテンツを持ち、これからもその生産を続けていく企業であったからなのです。
 角川グループは今後も時代のニーズを先取りするべく、新たな展開を常に行ってまいりますが、その根底を支えるものはこれからも「ニッチを探す精神」に代表される、コンテンツ創出へのあくなき追及であることを皆さまにもお伝えできれば幸いです。

 なお、皆さまにお知らせがあります。かねてより検討しておりました、「株主様ご優待」の充実について、2008年度からの実施に向けた骨子が決定いたしました。従来100株単位以上の株主様対象に一律のご優待としていた制度を改め、対象ジャンルの拡充や継続保有に対する新たなご優待を追加しております。詳細は別項に譲りますが、角川グループホールディングに対する、より多くの期待と継続したご支援に対する感謝の気持ちを具体的に示すため、新制度導入を行うことにいたします。
 コンテンツ創出への追求を根底に、新たなチャレンジを積極的に行っていく角川グループに、皆さまのご理解とさらなるご支援を賜りますようお願い申し上げます。


常にニッチを開拓せよ
角川グループのコミック展開

 2007年現在、角川書店のコミック部門の売上げは、七年連続のプラス成長を更新中です。富士見書房、メディアワークス、エンターブレインなどの出版ドメイン各社においても、独自の切り口の作品が読者の支持を集めています。出版業界が10年連続のマイナス成長、コミック市場全体においても五年連続の縮小傾向のなかで、角川グループが継続的なプラス成長を達成しているのは、嬉しいかぎりです。  ご存知の方が多いとは思いますが、角川グループのコミックは、出版社のなかでは後発です。しかしコミックに対する先入観が薄かったゆえに、先行する大手出版社にはないタイプの作家や作品が生まれ、メディアミックスの自社開発や専門店・特約店との緊密な連携など、独特の販売方法が確立できる素地があったのかもしれません。
 個人的な思い出では、1985年に創刊したアニメ誌「Newtype」に連載したコミック「ファイブスター物語」にたどりつきます。作家の永野護はアニメのデザイナーが本業でした。既存のコミック界と付き合いが少なかった角川グループは、作家の人材をアニメやゲームといった近接ジャンルの若い才能に求めたのです。また、大手出版社が「海賊版の温床」として毛嫌いしたコミックマーケットなどの同人誌卸売会からも、偏見なく作家をスカウトしてきました。こうした姿勢の背景には角川歴彦会長(当時・専務)のアドバイスがありました。「ファイブスター物語」のヒットをきっかけに「Newtype」発のコミック誌を作りたいと許可を求めにうかがった時、専務は反対の意思を示されました。出版界に身を置く先人として、コミックの世界が文芸以上に厳しい競争を強いられることをよくご存知だったからです。そのなかで、「コミックに進出するなら大手がやらないニッチの世界を開拓しなければならない」というお言葉をいただきました。数年後、現在の基幹誌「少年エース」が立ち上がり、「新世紀エヴァンゲリオン」等の成功をとおして、「昨日までニッチだった手法が一夜にして本流になる」という実体験を得ることができたのです。
 最近では新興の出版社に加え、大手も角川のスタイルを踏襲することが多くなりました。我々としても現在の位置に安住せず、常に新たなチャレンジを続ける必要があります。幸いにしても各社とも自社デビューの作家が育ち、未開拓の年齢層やジャンルを開拓する気概にあふれています。その時々のニッチを探す精神を大切にして、新しい本流を創出していきたいと思います。

角川グループ社史「全てはここから始まる 角川グループは何をめざすか」より転載

株式会社角川書店 代表取締役社長

井上 伸一郎

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