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文芸・ノンフィクション局 文芸単行本編集長 足立雄一

文芸・ノンフィクション局 文芸単行本編集長 足立雄一

 子供の頃から本が好きだったんですが、特に高校時代に本格ミステリの作品を読みふけりましたね。きっかけは当時の数学の先生にオススメされた1冊。何度もこちらの予想を裏切られ、翻弄されて、我を忘れて文字を追いかけたのを覚えています。その本とは法月綸太郎さんの『密閉教室』でした。以来、高校3年間はミステリーの世界に没頭しました。それから15年以上が経った2007年。私をミステリの世界に導いてくれたその人との出会いがついにやって来るのです。文芸誌『野性時代』編集部に異動してきた私はさっそく、法月さんに原稿執筆の依頼をし、短編の新シリーズのスタートを引き受けていただきました。最初に原稿をいただいたのは「ノックス・マシン」という、タイムマシンをモチーフにしたSFミステリーの短編。想い焦がれていた人との仕事は、うれしくもあり、感慨深いものもありました。まさにタイムマシンに乗って高校時代の自分に会いに行き、「いずれお前は、法月さんと一緒に仕事をすることになるぞ」と言ってやりたい気持ちでした。編集者の仕事の醍醐味の1つは、「いつかはあの人と!」という想いを原動力にできること。私に限らず、子ども時代、学生時代に影響を受けた作家さんへの想いを企画書にぶつける編集者は周りにも多いですよ。

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 ただ、「この作家さんが好きだ!」「この作品はおもしろい!」という想いを持ったからには、編集者はどこまでも情熱を注がなければなりません。作家さんと何度もやり取りをさせていただき、お互いに納得のいく作品に仕上げていただくのはもちろん、書店で思わず手にとりたくなる装丁や帯、店頭プロモーションやツイッターやSNSを用いた情報発信など、その物語を世の中に広めるために考えうる創意工夫はすべてやり抜かなければなりません。自分自身が作品に対して抱いた感動、驚き、興奮といった感情を、世の中の数多くの人たちに同じように感じてもらう、そこに編集者の醍醐味があると思います。そして、そこが腕の見せどころでもあると思うのです。その意味では、ここ数年の電子版の登場は、本の可能性とともに編集者としての仕事の幅も広げてくれました。例えば、冲方丁さんの『はなとゆめ』。もともと新聞連載だった作品で、連載時にはイラストレーター遠田志帆さんの美しいカラー挿絵が載せられていました。しかし、紙の本でカラーイラストをすべて再現するとどうしても印刷コストがかかり販売価格も上がってしまう。そこで“電子オリジナル版”として発売しました。電子書籍として異例の売上げを記録し、相乗効果で紙の本の売上げまでも伸ばすことができました。このように、社会環境の変化にあわせて新しい作品の広め方を模索することは、編集者にとって新しい仕事の面白みでもありますね。

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 KADOKAWAはこれまで、『不夜城』(馳星周)や『リング』(鈴木光司)をはじめ、一世を風靡してきたエンターテイメント小説を数々送り出してきました。次はみなさんの出番です。世代ごとに、馴染みのある言葉や世界観もあるでしょうから、みなさんにしかつくれないものがきっとあるはずです。これからの世代を代表するような作品を、みなさんの手で生み出してくれることを楽しみにしていますよ。

(上記内容はインタビュー時のものです)

イチオシ商品

  • 法月綸太郎著『ノックス・マシン』

    『ノックス・マシン』(法月綸太郎)。足立が担当した第1篇「ノックス・マシン」を含む、全4篇の珠玉のミステリ中篇集。「このミステリーがすごい! 2014年版」「ミステリが読みたい!2014年版」で第1位を獲得した話題作。

  • 上橋菜穂子著『鹿の王』

    上橋菜穂子著『鹿の王』は2015年本屋大賞を獲得したエンタメ巨編。巨大帝国が侵略を繰り返す世界で謎のウイルスが発生。感染から生き残った父子と、命を救うため奔走する医師たちが過酷な運命に立ち向かう物語。

  • 高野和明著『ジェノサイド』

    『ジェノサイド』(高野和明)は、発売後、書店員さんのツイッターがきっかけとなり、クチコミがクチコミを呼び、加速度的に売上げを伸ばしていった作品。作家・伊坂幸太郎氏も賛辞を贈ったという一冊。

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